第三章

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 カフェテリアの一角、羽倉を呼び出した。  僕は彼女の正面に腰掛け、単刀直入に言った。 「林道君と本当にお付き合いをしてみてはどうですか」  羽倉はヒーローの決めポーズのよう両腕を伸ばした。 「な、なに?」 「ですから、林道君と本当にお付き合いをしてみてはどうですか」  羽倉は変身するよう腕を反対に回した。 「……どっ、どうしてそんなこと言うの」 「林道君は変人だと思います」 「……そうだね」 「無鉄砲で暴力的で向こう見ずです」 「そうだね」 「羽倉さんとお似合いだと思います」 「こらああああ! へっへっへっ。こらああああ!」  羽倉は右手を振り上げ怒り、左手で自分の頭を掻いて頬を緩めた。 「明日、林道君をデートに誘いませんか」  ――僕にハンバーガーを奢らせた林道とこんな会話をした。 「羽倉さんと付き合ってることになってるだろう?」 「はねくら?」 「林道君がペリーって呼んでる娘だ」 「おう、あの開国が口癖の船乗りか。まぁ、そういうことになってる。お前も一緒に来航しないか、なんて提案をされた」 「それは林道君の妄想だろう」 「かもな。最近、夢と現実の区別が付かない」 「なんという人だ」 「褒めるな。俺はこれ以上自分を凄い人間だって思いたくない」 「誰も思っていないから安心しろ。羽倉さんと真剣に、本当に付き合ってみたらどうだ?」 「いいぜ」  林道の返答は軽かった。 「僕の言ってる意味、分かってる?」 「交際しようってんだろう。いいぜ」
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