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「やらなきゃ、あいつらの姿だって探せないんだ。
何も出来ずに判定が下がるより、ましだろ!?」
「分かったよ。
風(ティーファ)!」
少女が風で霧を晴らせていくと、霧の中から人影のようなものがうっすらと現れた。
「いた!
雷(ユグ)!」
先手必勝と言わんばかりに、少年は詠唱を始める。
「よしっ!」
少年の放った魔法は、人影らしきものに見事に命中したが…
「なっ…偽物!?」
命中した人影らしきものは、バラバラに砕けた。
「これ、土(アンジュ)で作られた囮だ!」
少年が砕けた破片を調べていると、霧の中から愛羅が自分の上に、勢いよく姿を現した。
「なっ…一体どこからっ…」
「土(アンジュ)!
捕(ディーダ)!」
愛羅が詠唱すると、砕けていた土が集まり、少年の体を捕らえ、動きを封じた。
「くっ…」
愛羅の魔法に捕らえられた少年は、完全に動けなくなっている。
少年は、いまだに何が起きていたのか理解できないと言った顔で、愛羅を見ている。
「ちょっと!
何が起きたの!?」
同じ霧の中にいるが、辺りが見えず何が起こったのか分からない少女が、声をあげた。
「もう!この霧晴らすわよ!?」
再び魔法で風を起こし、霧を払っていく。
すると、少女の目に飛び込んできたのは、愛羅の魔法によって捕らえられ、動けなくなった自分のパートナーの少年の姿だった。
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