217人が本棚に入れています
本棚に追加
/345ページ
───え?
今の……何……?
胸が一瞬だけ“ドキッ!”って……。
初めての感情、経験に戸惑い、あずさは驚いた表情を浮かべながら自分の胸に手を置いた。
「……そろそろ戻らないとな。」
そんなあずさに対して、いつも通りの態度で接する蓮見。
蓮見は一言そう言うと、あずさの目の前にケガをしている方の手をスッと向けた。
「……手当て、してくれるんだろ?」
______!!!
蓮見のその一言を聞き、ボーッとしていたあずさがハッと我に返る。
そうだった……!
早く手当てして戻らないと……。
「……は、はい…!失礼します…。」
あずさは再び蓮見の手をとり、優しく手当てをし始めた。
そして手当てが終わると蓮見は、
「……ありがとな。」
あずさに一言お礼を言い、先に部室を後にして、グラウンドへ戻って行った。
“ありがとな。”って言われた……。
蓮見先生にお礼言われたの…初めてだ…。
───ドキ…ドキ…。
ゆっくりと高鳴るあずさの胸の鼓動。
あれ…?まただ……
さっきから…変なの……
胸が…ドキドキして…熱い……。
心臓が…ドクドクって…高鳴る…。
………どうして?
あずさはそんな疑問を胸に抱きながら、救急箱の片付けを始めた。
その後で部室を後にし、蓮見から少し遅れてグラウンドに戻って行ったのであった。
最初のコメントを投稿しよう!