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───部活が終わり、あれから帰宅をしたあずさは、兄の光也との夕食を終えると、お風呂場へと足を進めた。
そして汗を流し、一日の疲れを洗い流す。
浴槽の中でボーッとしているあずさの頭の中は、蓮見のことでいっぱいだった。
……どうしてドキドキしたんだろう…。
確か、あおちゃんが
こんなこと言ってたよね……。
“かっこいい”って言うのは…
その人のことを見てドキドキしたり、
胸が苦しくなったりすることだって…。
って言うことは……
私は蓮見先生のことを“かっこいい”
って…思ってるってこと…なの…?
そ、そんな急に…?
今までずっと“怖い”“苦手”って
思ってた人を……
そんなに急に“かっこいい”って
思えるの……?
でも、本当は全然違った…けど…
“怖い”“苦手”って…
私が勝手に決めつけてたことだけど…。
でもね……?
自分でもびっくりするくらい…
蓮見先生への苦手意識が
急になくなった……。
ここ数日間で…色々なことが起きて…
蓮見先生の良さを知って…
なんだか自分自身…
少しずつ成長しているような気がする…。
蓮見のことを考えている今も、あずさの胸は知らず知らずのうちにドキドキと高鳴っていた。
その原因に気付くまでそうほど遠くはない。
この時はまだ、これからのあずさの平凡な学生生活が徐々に変わり始めていることに、あずさ自身知る由もなかった───。
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