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それが、よりによって、一番聞かれたく無い人に、一番聞かれたく無いことを聞かれてしまった。
「やっぱり、そうなんだ…?」
否定しなければ。
だって、僕が好きなのは…
「えっと、それは違う。僕と上田はただの幼馴染で、すごく仲の良い友達だけど、恋愛感情はないよ。優子先生は…まぁ、男子なら好きそうな感じでしょ。いっちゃん先生はすごく親身だし。赤崎とは色々馬鹿やれるし、家族は自分の支えになってくれてる。だから、そう言う意味ではみんな好きだよ。」
知らぬ間に、言葉に勢いがついてしまっていた。
「でも、僕が君を好きなのは、さっきのとは全く違う。
この好きって言うのは…毎日一緒にこうやって話したり、弁当食ったり、手を繋いだり、抱きしめたり、キスしたり、セックスしたり…とにかく…大切にしたい、守りたい…って意味での、好き。」
僕はたった今、自分が口にした正直すぎる願望混じりの告白をどうフォローしようか考えたが、事実は事実なのでそのまま言いっ放しにしてしまった。引いただろうか。
彼女の方を見ると、最初は驚いた表情をしていたがみるみるうちに顔が赤くなり、ついには両手で顔を隠してしまった。
「その…いきなりごめん。」
「私も。」
「え?」
彼女の声はくぐもって聞こえなかった。
僕が聞き返すと、彼女は今度はしっかりと僕の目を見て言った。
「私も、あなたが好きです。さっきあなたが言った意味で。」
彼女はこれまで見てきた中で、一番綺麗な笑顔だった。
今度は僕が赤面する番だった。
実は少し前から彼女は僕に気があるのではないかと思っていたが、いざ面と向かって言われるとこんなにも嬉しい事だなんて、今この時まで知らなかった。
「これから、よろしくお願いします。」
彼女は余りにも愛おしい表情でそう言うので、僕は彼女を抱きしめた。
「こちらこそ、よろしく。」
彼女の白くて柔らかな頬に手を添えると、少しくすぐったそうに上目遣いに僕を見た。
そして、僕らは初めてのキスをした。
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