冷たい手

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「我輩はバルタン星人である」 「馬鹿! 何いってんの」 「この寒い中、待っててくれたみたいだから、俺の面白ギャグでだな。お前のその冷え切ったハートをだな、温めてやろうとだな」 「意味わかんない」 「なんの?」 「ギャグの」 「だってほら、影がね。チョキでね。チョキといえばね。ほら、バルタン星人がね」 「昭和生まれ?」 「いや、バリバリ平成」 「じゃ、馬鹿じゃない?」 「……むぅ」 「まぁ、いいわ。ほら」 「何?」 「何って、チョコよ」 「む、むむむ! え、なんで、なんで?」 「バレンタインデーだからでしょ! いるの、いらないの?」 「いる! いるよ。その……ありがとな」 「いいから、受けとんなさいよ」 「手袋してんのに、手、冷たいな」 「手袋越しでもわかるんだ? ん、ちょっとだけ、温かいから、そのままにしておきなさいよ」 「……お、おう」
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