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その郵便物を見ると、宛名に吉崎 実(よしざき みのる)と書かれていた。
恐らく、その男の名前だろう。
玲奈は郵便物を戻し、張り込みをした。
張り込むこと数時間、吉崎がアパートから出てくる。
吉崎は徒歩で出かける。
玲奈がその後ろを尾行すると、吉崎は五位堂家へやってきた。
(五位堂家だと!?)
玲奈は物陰からジッと様子を窺う。
ピンポーン──吉崎がインターホンを鳴らすと、五位堂が出てきた。
吉崎は五位堂家に上がった。
暫くすると、吉崎が五位堂家から出てくる。
玲奈は吉崎を見送り、五位堂家を訪ねた。
「何でしょうか?」
「単刀直入に伺います。吉崎 実とはどういったご関係でしょうか?」
「吉崎 実? 誰ですか、それ?」
「今、男が訪ねてきましたよね?」
「ああ! 車谷 恵一(くるまだに けいいち)さんですか。彼がどうかしたんですか?」
「それは偽名で、本名は恐らく吉崎 実です。どういったご用件だったんですか?」
「彼は岬の知人でお線香をあげに来てくれたんですよ」
「そうですか。その男なんですが、もしかすると、奥さんを殺害しているかもしれません」
「そ、そんな!?」
「あくまで推測ですが」
「そ、そうですよね。で、でも何で偽名なんでしょうか?」
「さあ?」
とりあえず──と、続ける玲奈。「今日はもう遅いですし、明日また調査してみます」
玲奈はそう言って五位堂家を出ると帰路に就いた。
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