1.依頼

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 学校に着くと、校門が閉まりかけていた。 「急げー! 閉めるぞー!」  教師が校門を閉めようとしていた。  玲奈は全速力で校門に向かうが、あと一歩のところで閉まってしまう。だが── 「ふんっ!」  玲奈は高く飛び上がり、空中で宙返りをして校門を越えて着地した。 「わーお!」  驚く教師。  玲奈は無視して校舎へ駆ける。  下足入れで靴を履き替えると、早歩きで教室へ急いだ。  扉を開け、中に入る。  それと同時にチャイムが鳴り、教師が入ってくる。 「黒崎、遅いぞ」 「事件に巻き込まれてまして」 「事件だ? いいから席に着け」 「はーい」  玲奈は席に着く。  放課後、玲奈は帰りに例の事件現場へやってきた。  警察の姿は既にない。 コツコツコツ──と、足音が聞こえ、玲奈の後ろで止まった。 「ん?」  振り返る玲奈。 「玲奈ちゃん、こんなところで何してんだ?」  そう訊ねるのは、警視庁に勤務する黒沢 聡(くろさわ さとし)警視長だ。 「黒沢さん!?」 「久しぶり」 「黒沢さん、捜査ですか?」 「うん、まあ」 「事件を通報したの私なんですけど、捜査に進展はありますか?」 「被害者の名は山本 重治(やまもと しげはる)。詐欺師だ」 「詐欺師?」 「ああ。犯人は逮捕されてない」 「第一発見者の風晴 聖子さん調べました?」 「調べたけど、接点はなかったよ」 「そう……」  玲奈は考えた。 (風晴さんが怪しいと思ったけど、接点なしか。犯人としての物証もないしな) 「とりあえず、風晴さんの交友関係洗ってみてもらえますか? もしかしたら詐欺の被害者がいるかも」 「ああ、わかった。最近物騒だから気をつけろよ」  聡はそう言って玲奈の前から立ち去った。  玲奈は現場を後にする。
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