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学校に着くと、校門が閉まりかけていた。
「急げー! 閉めるぞー!」
教師が校門を閉めようとしていた。
玲奈は全速力で校門に向かうが、あと一歩のところで閉まってしまう。だが──
「ふんっ!」
玲奈は高く飛び上がり、空中で宙返りをして校門を越えて着地した。
「わーお!」
驚く教師。
玲奈は無視して校舎へ駆ける。
下足入れで靴を履き替えると、早歩きで教室へ急いだ。
扉を開け、中に入る。
それと同時にチャイムが鳴り、教師が入ってくる。
「黒崎、遅いぞ」
「事件に巻き込まれてまして」
「事件だ? いいから席に着け」
「はーい」
玲奈は席に着く。
放課後、玲奈は帰りに例の事件現場へやってきた。
警察の姿は既にない。
コツコツコツ──と、足音が聞こえ、玲奈の後ろで止まった。
「ん?」
振り返る玲奈。
「玲奈ちゃん、こんなところで何してんだ?」
そう訊ねるのは、警視庁に勤務する黒沢 聡(くろさわ さとし)警視長だ。
「黒沢さん!?」
「久しぶり」
「黒沢さん、捜査ですか?」
「うん、まあ」
「事件を通報したの私なんですけど、捜査に進展はありますか?」
「被害者の名は山本 重治(やまもと しげはる)。詐欺師だ」
「詐欺師?」
「ああ。犯人は逮捕されてない」
「第一発見者の風晴 聖子さん調べました?」
「調べたけど、接点はなかったよ」
「そう……」
玲奈は考えた。
(風晴さんが怪しいと思ったけど、接点なしか。犯人としての物証もないしな)
「とりあえず、風晴さんの交友関係洗ってみてもらえますか? もしかしたら詐欺の被害者がいるかも」
「ああ、わかった。最近物騒だから気をつけろよ」
聡はそう言って玲奈の前から立ち去った。
玲奈は現場を後にする。
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