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玲奈は携帯から聡に電話した。
「はい、黒沢です」
「玲奈です。一週間前に自殺した五位堂 岬について教えていただけますか?」
「五位堂 岬? 調べとくから警視庁まで来て」
電話が切られる。
玲奈は付近でタクシーを拾って警視庁へ向かう。
警視庁の正門の前には、警察官が立っている。
玲奈は中に入り、受付で入庁記録に名前を記入して捜査一課に向かう。
捜査一課では聡が待っていた。
「五位堂 岬について警察のデータベースで調べたんだけど、首吊り自殺で亡くなってるよ。一体今度は何を調べてるんだい?」
「まだはっきりとは。依頼人は旦那さんなんですけど、他殺を疑ってるみたいです」
「そうか……」
「そういえば、五位堂家には監視カメラがありましたよね。訪問者は映ってないんですか?」
「防犯カメラね。あの日はなぜか故障してて何も映ってなかったんだよね」
「ま……遺書もあったし、所轄は自殺として処理したみたいだよ」
「そうなんですか」
「おっと、会議の時間だ。それじゃあ」
聡はそう言って捜査一課を出て行った。
玲奈はもう一度五位堂家を訪ねた。
「ああ、探偵さん。今度は何でしょうか?」
「奥さんの交友関係について教えていただけますか?」
「何でしょう?」
「仲良しのお友達について教えて下さい」
「八坂 楓(やさか かえで)さんという親友がいますよ」
「その方の写真や住所がわかるものは?」
「ちょっと待って下さい」
五位堂が写真を持ってくる。
写真には岬ともう一人、楓と思われる人物がツーショットで写っている。
「右の女性が八坂さんです」
「ありがとうございます」
「住所はわかりませんが、妻の携帯に八坂さんの固定電話の番号が入ってます」
玲奈は電話番号を教えてもらった。
「それじゃあ、調査に戻ります」
五位堂家を出る玲奈。
手元には携帯電話がある。
その携帯で聡にかけた。
「この電話は、電波の届かないところにあるか、電源が入っていないため、かかりません」
玲奈は電話を切り、104に通話して楓の住所を聞き出した。
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