2.調査

2/5
前へ
/13ページ
次へ
 玲奈は携帯から聡に電話した。 「はい、黒沢です」 「玲奈です。一週間前に自殺した五位堂 岬について教えていただけますか?」 「五位堂 岬? 調べとくから警視庁まで来て」  電話が切られる。  玲奈は付近でタクシーを拾って警視庁へ向かう。  警視庁の正門の前には、警察官が立っている。  玲奈は中に入り、受付で入庁記録に名前を記入して捜査一課に向かう。  捜査一課では聡が待っていた。 「五位堂 岬について警察のデータベースで調べたんだけど、首吊り自殺で亡くなってるよ。一体今度は何を調べてるんだい?」 「まだはっきりとは。依頼人は旦那さんなんですけど、他殺を疑ってるみたいです」 「そうか……」 「そういえば、五位堂家には監視カメラがありましたよね。訪問者は映ってないんですか?」 「防犯カメラね。あの日はなぜか故障してて何も映ってなかったんだよね」 「ま……遺書もあったし、所轄は自殺として処理したみたいだよ」 「そうなんですか」 「おっと、会議の時間だ。それじゃあ」  聡はそう言って捜査一課を出て行った。  玲奈はもう一度五位堂家を訪ねた。 「ああ、探偵さん。今度は何でしょうか?」 「奥さんの交友関係について教えていただけますか?」 「何でしょう?」 「仲良しのお友達について教えて下さい」 「八坂 楓(やさか かえで)さんという親友がいますよ」 「その方の写真や住所がわかるものは?」 「ちょっと待って下さい」  五位堂が写真を持ってくる。  写真には岬ともう一人、楓と思われる人物がツーショットで写っている。 「右の女性が八坂さんです」 「ありがとうございます」 「住所はわかりませんが、妻の携帯に八坂さんの固定電話の番号が入ってます」  玲奈は電話番号を教えてもらった。 「それじゃあ、調査に戻ります」  五位堂家を出る玲奈。  手元には携帯電話がある。  その携帯で聡にかけた。 「この電話は、電波の届かないところにあるか、電源が入っていないため、かかりません」  玲奈は電話を切り、104に通話して楓の住所を聞き出した。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加