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正確には、このおぼっちゃまの車を廃車にしてしまった。
「998万円分、もっと僕に尽してくれないと駄目じゃないか」
「うっせーな。お前のリクエストに手こねハンバーグとか作ってやってるだろ」
ココは、貿易会社社長室、45階の地上から何百メートルも離れた空の上。
イギリスと日本人のハーフで、長ったらしい名前のおぼっちゃまは、バイクでドリフトしていた俺達のコースに突っ込んで来た馬鹿野郎だ。
その時、俺は仲間を庇い、自分のバイクであの馬鹿おぼっちゃまの車を止めた。
あの時、いきなり道路ではない花壇から、ゴールデンに光る車が飛び出して来た時、俺は昔の敵対していた族の奇襲かと思った。
だが、ゴールデンカ―に乗っていたのは、白馬の王子と言われたら信じてしまいそうな美形だった。
「バイクで空から降って来た君は、本当に天使かと思ったよ。僕の車を思いっきり跳ねて、廃車まで追い詰めたそのテクニック。ああ、僕は一気に恋に落ちたね」
「うっせ。冷めるから早く飲め。あと、秘書が書類早く見ろってさっきから電話五月蝿い」
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