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「おーい、ハニー。紅茶はまだかな?」
「うっせーな。今、三分待ってんだ。直ぐに行く」
「え、ハニー、それって紅茶の葉ではなく、ティーバックかい?」
細かいことばかり気にする俺のクソなご主人様は、紅茶の葉をお湯で出汁とるみたいに飲むのが好きらしい。
面倒くせえ。
男なら、ウーロン茶ラッパ飲みで十分だろーが!
「どうしたんだい? ハニー」
「いや、ほれ、出来たぞ」
テーブルにそっと置いたはずの紅茶が、たぷんと揺れて高そうなテーブルクロスに水玉模様の染みを作った。
やっべー。
「ハニー、君は何か大事な事を忘れてないかい?」
「んだよ。拭くし」
動きにくい執事服の、一番上のボタンを外しながら俺は布巾に手を伸ばすと、手を掴まれた。
「君がバイクで突っ込んで壊した高級車の修理費は?」
「……998万円です」
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