第1章

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 アナウンスがあって、電車が一台ホームに滑り込んでくる。  おなじみの光景も、外からだと違って見えた。  それはカマキリの卵から今にも出ようとしている幼体の群れで、窓の向こうでそわそわしはじめ、一度に扉が開くと、我先に歩き出して視界一杯を埋め尽くす。  電車はまた行ってしまう。それが繰り返されるのだと想像できた。
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