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*幸せの涙・1*
「最悪だ……この世の終わりだ…」
膝をつき、絶望感に心が折れた。
ジワジワと広がるようにして、心が死んでいく。
打ちのめされ、誰へともなく呟いた俺の隣で……。
「…………」
彼女は、微笑んだ。
まるで、月明かりに照らされ、ひっそりと花びらを開く、名もない小さな花のように…。
この世の穢れを浄化するような、美しく、それでいて儚げな微笑み…。
その微笑みが……。
「………フレイヤ?」
初めて見る、彼女の笑顔だった。
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