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*幸せの涙・2*
俺の親父は、俺と同じ研究者だった。
政府が所有する施設の研究室で、家にも帰らずに篭りきりで研究しているような、そんな親父だった。
母親の事は知らない。
物心がついた時から、いなかった。
父親と何ヶ月も会わないなんて事はざらで、家に来る、親父の部下っていう奴らが、俺の身の回りの世話をしてくれた。
家には、そんな部下達も知らない、秘密の地下室があり、俺は、その地下室に、身を潜めるようにして隠れる事がよくあった。
その場所は、親父の秘密、そのものだった。
政府の人間でありながら、政府側とは全く違う思想を持つ親父は、この秘密の地下室で、ある研究を行っていた。
それが、ヒューマノイドの研究だ。
世界は、過去に最大の危機を迎えた歴史がある。
人工知能を持った機械(AI)たちの、人間への反乱だ。
人間は、次々とAIの完成度を上げて、人々の生活や仕事、戦争、やがては世界そのものを劇的に変化させていった、
ただ、一つだけ、人間は過ちを犯した。
完璧すぎた。
AIの性能を、完璧にしすぎたのだ。
人間をも超える存在となったAIたちは、人間に取って代わろうと反旗を翻し、人間とAIとの間で大きな戦争が起こった。
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