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城より東の、深き暗き森の果てには古の魔法使いが住んでいる ――…
「……なんで着かないのっ!!!」
日の傾き加減から見て既に迷うこと半日。
足は棒のようだし、入ってきた所さえ分からない。
簡単に言えば……その"迷子"である。
あの日の約束通り、ここまで来たのだ。
その昔、あたしを封じた魔法使いに解いて貰わなければならない。
この封印を……
薔薇と古(いにしえ)の魔法が産物の小国は、建国当時の古き戒めの如き同盟により和平を保っていた。
隣接する大国が血塗られた惨劇の果てに代替わりしたのはひと月前。
昨日、同盟破棄の通達が使者とともに訪れた……
大切な妹を体の良い人質として嫁がせるなんて言語道断。
それなら自分で乗り込んでやると息巻いたまでは良かった。
あの時から成長を止めたこの身体……
暁の黄金と褒め称えられたその髪は、この十年で魔力を溜め込み漆黒へと変化した。
使えぬこの力。
暴走させ、城を半壊させたのは十年前。
制御不能な力はやがて身を焦がし破滅へと導く。
だからこそ、使えないのら いっそと……自ずから望んで封じたこの力。
魔力を貯め込むしか能の無い 己が恨めしい。
だけど今、喉から手が出る程にそれが欲しい。
例え、この身が滅びる結果となろうとも ――…
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