第1章

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  「……ところで、話し方が昔と比べると大分変わったね?」 ……なんて意地の悪い言い方。 たしかに、(あまり出ないけど……)気取った式典でもない限り、はすっぱな喋り方が抜けない。 城を半壊させたあたしは、貴族の子女達から珍獣の如く遠巻きにされ…… 引退して街に住んでいたばあやだけが受け入れてくれて、そこが唯一安らげる居場所だった。 ばあやのお家に行っていた時だけ、同じ年頃の子供と遊ぶことが出来たし…… まっ、それも最初の1、2年だけだったけど。 子供のまま 成長しない身体じゃ、やっぱり爪弾きにされる。 何も知らない子供の方が、素直で残酷で ――… それに、弟妹だけが遊び相手……なんて、正直ねぇ…… 「こっちにも 事情ってもんがあるのよ」 「まぁ、だいたい見当がつくし、答えなくて良いけど」 「だったら最初から聞かないでっ!」 「僕にとっての10年なんて、昨日の事みたいなものだから 些細な事は気にしないだけ」 ……さり気に頭撫でたりしないでよ。 あたし、これでも16歳の乙女なんだからっ!……って、どうやっても6歳にしか見えないか。
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