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アルゴは見た目が完全に化け物の類だったが、とてもいい人だった。
今は完全に打ち解け、この世界について話を聞いていた。
アルゴにとって、僕はかなり久しぶりの客人らしいのだ。
「いやあ、本当にここに人が来るなんて、いつ振りだろうなあ。」
「そんなに時間がたってるって・・・その間はずっとひとりで?」
「ああ!だからやることもないので、ずっと寝ていたんだよ。そうしてたら、いきなり叫び声が聞こえてきてな、びっくりして飛び起きちまったわけよ。」
「そうだったんですか・・・」
アルゴはその場に座り、僕も続けて座る。
「それにしても、おまえさあ」
「?」
「俺のことが怖くないのか?」
アルゴは、膝に頬杖をつく。
確かに、アルゴは人間とは思えないような化け物のような体を持っている。しかし、恐怖というのは全く感じなかった。
「いいえ、怖くないですね」
「ほーん、お前は少ない方の人間なんだな。」
「少ない方とは?」
アルゴは意味深な感想を述べる。
「お前が来るずっと前にな毎日毎日、何人もの人間が来る時があったんだよ」
「・・・その人たちは・・・今はどこに・・・?」
「そりゃあもちろん」
アルゴは、僕の後ろを覗き込むようにしながら、指さす。
「その扉の向こうにさ」
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