0人が本棚に入れています
本棚に追加
2027年3月1日 ある山の中で
「ハアッ、ハアッ、ハアッ」
僕は激しく息を乱しながらもペダルを強く踏み込み、暗い山の中を進んでいく。
目的地は、あともう少し。
僕の名前は、広月生治郎(ひろつき せいぢろう)だ。現在は中学3年生で受験シーズンを無事過ぎたところだ。
姉さんが押していた高校の受験は終わり、後は結果待ちだ。
・・・・・・・・。
そして、僕は今あるところに向かって自転車を走らせている。
僕は今必ずやっておきたいことがあるのだ。これから何が起きても必ずやっておきたいことが。
それは僕からしたら、今までの中で最上級の怒りであり、悲しみであり、悔しさであり、喜びであるものだ。他人がどう思おうが知ったことではない。
僕のこれからの行動は、僕の15年間に築き上げられ導き出した答えであり、僕自身の夢なんだ。
「ハアッ、ハアッ、ハアッ、クッ!!」
僕は、水筒を開けて勢いよく水を飲む。すごく冷たい。
「ウッ、ゲホッ!!!ゲホッゲホッ!!!!」
一瞬、火照った体内の中に侵入する水に快感を感じ、気を抜いたことが失敗だった。勢いよく飲みすぎたせいで、水が器官の中に入ってしまったようだった。
一気に不快感が増す。
自分の普通すぎるスマホを取り出し、目的地までの距離を確認する。
「あと1キロか・・・」
僕は新しいカイロを取り出し、手を暖める。
(今頃・・・姉さんは怒ってるんだろうな)
いつもいつも、僕が何かをしようとするたびに、姉さんは怒っていた。
そして、何かと出来のいい妹を褒めていた。
周りの人間もみんなそうだった。
最初のコメントを投稿しよう!