prologue:Tack

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ぽたっ、ぽたっ、と、その容器の一滴ずつ水がこぼれ、僕はそれに気づく。 それの正体が涙であることを理解すると、僕は何故か容器をあわてて片付ける。 そして、僕は上を見る。 そこには、満天の星空が見えていた。 「すごく・・・きれいだな・・・」 僕は、星を見ることが好きだ。 その理由は、ありきたりだけれど、本気でそうかんじている。自分の存在がとても小さく感じるからだ。そして、小さく矮小な存在であることが普通なのだと感じさせてくれる。 だから、とても好きだった。 「よーし!」 星空を見てると自分の中に、少しだけ勇気が出た。 そして、崖があるために柵があるところを飛び越え、死ぬ用意をする。 冷たい風が下から吹いてくる。そして、下には真っ暗な闇があり、少し向こうには人工的な光が見える。 僕は、眼を閉じた。自殺するために。 しかし、恐怖のために動けない。 生物的本能 それが、ぼくの最後の願いの邪魔をしていた。 動け。 動け。 うごけ!! 動け!!! どうしても動かない。 僕は初めて祈る。無理を押しとおすために。
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