プロローグ 5年前の事件

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「アオイ!!!」 私は名前を呼ばれ、声がした方へと振り向く。そこには、屈強そうな"元"仲間が立っていた。 「なに?」 私はめんどくさそうな顔をしているだろう。自分でもわかってしまう。 「お前、本当にやめるつもりか!?」 彼は大声で叫ぶ。それに対して、私の頭の中は静かだ。 「………ええ、そうよ。わたしはもう、戦わない。リーダーからも聞いてるでしょ?」 私は今日限りである団体をやめることになった。しょうがないのだ。やりたいことが変わってしまったのだから。 「ふざけんな………今まで積み重ねてきたこと全てを捨てるということだぞ!!お前はそれでいいのかよ!!!」 「ええ、いいのよ。私は初めて私がやりたいことを見つけた。だから、それをやるのよ。」 「お前は…俺達を裏切るのか……。」 私は相手の質問に間髪入れずに答える。 「いいえ、ただの優先順位の違いよ」 雨が、ポツポツと降り始める。 長年、私はこいつと一緒に多くのことを成し遂げてきた。それゆえにどんな考えをしているのかも理解できる。
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