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「アオイ!!!」
私は名前を呼ばれ、声がした方へと振り向く。そこには、屈強そうな"元"仲間が立っていた。
「なに?」
私はめんどくさそうな顔をしているだろう。自分でもわかってしまう。
「お前、本当にやめるつもりか!?」
彼は大声で叫ぶ。それに対して、私の頭の中は静かだ。
「………ええ、そうよ。わたしはもう、戦わない。リーダーからも聞いてるでしょ?」
私は今日限りである団体をやめることになった。しょうがないのだ。やりたいことが変わってしまったのだから。
「ふざけんな………今まで積み重ねてきたこと全てを捨てるということだぞ!!お前はそれでいいのかよ!!!」
「ええ、いいのよ。私は初めて私がやりたいことを見つけた。だから、それをやるのよ。」
「お前は…俺達を裏切るのか……。」
私は相手の質問に間髪入れずに答える。
「いいえ、ただの優先順位の違いよ」
雨が、ポツポツと降り始める。
長年、私はこいつと一緒に多くのことを成し遂げてきた。それゆえにどんな考えをしているのかも理解できる。
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