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私は、コンビニでプラスチック製の傘を買い、孤児院へと急いだ。
今日から、私には息子と娘ができるのだ。今日、私は母親になる。しかし、私は結婚していない。こんな私を貰ってくれる人など、どこにもいなかったのだ。
そんな私に、新たな家族ができる。最近できた夢、いや、昔からの夢だったのかもしれない。
とても嬉しかった。そんな私の足取りは軽く、すぐに孤児院についてしまう。私は中に入り、受付の方に話しかける。
「すみません」
「はい、なんでしょう」
「暁月アオイです。二人を引き取りに来ました。」
「ああ、なるほど。わかりました。すぐに連れて来させますね。」
受付はそう言うと、電話をかける。
私は期待で胸の鼓動は高鳴りっぱなしだ。
「心臓が破裂しそう……。」
胸を押さえて、待つ。
すると、カラカラカラという音が聞こえる。見てみると、それの音の正体はベビーカーだった。それには、ふたりの赤ん坊がスヤスヤと気持ち良さそうに眠っている。
待ちに待った再会だった。
「お待たせしました、アオイさん。」
「ありがとうございます!」
私は駆け寄り、ふたりの頬を触る。その頬はさらさらしていて温かく、とても気持ちがいい。私は思わずにやけてしまう。
「アオイさん、書類にサインをお願いできますか?」
「あ、はい」
私は6枚ほどの紙の全てに、サインと印を押す。そして、それを渡した。
「ありがとうございます。これで正式にあなたはこの子供達の親ですよ。」
「ふふ、ありがとう」
私は今、多分とても気持ち悪い顔になっているだろう。
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