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??「…ふぅ」
ダーカーの残骸を見つめながら少女は一息つく。
??「…しまった」
レーダーを見て、彼女はそう呟いた。
何故かと言うと、通常のアークスでは立ち入り禁止区域に指定されているエリアに踏み込んでいた。
先遣隊ですら何名か被害が出るレベルのため、入り込んでしまったらすぐさま離脱するように言われている。
そして彼女自身は気づいていないが、ここはファング・バンサーの希少種「バンサ・オング」縄張りだった。
??「…早く離脱しよう…」
そうして踵を返そうとした時…
―グォオオオオオオオッッ!
縄張りの主の咆哮が聞こえたのだった…
……
??「くっ…!」
ガキンッ!
その場から離脱することもできずに彼女は応戦する。
そうして「バンサ・ドンナ」というオングの番の雌はどうにか倒すことができた。
だが今はこうしてバンサ・オングの攻撃を防ぐだけで手一杯となっている
離脱どころか回避すらままならず、彼女は舌打ちする。
??「っ!?しまっ…!」
そうして隙ができたのか、オングの攻撃で吹き飛ばされてしまう。
慌てて受身を取ろうとするが、間に合わず、
??「…がっ…!」
後頭部から背中にかけて強く打ち付けてしまい、その場に崩れ落ちる。
朦朧とする意識の中でなんとか立ち上がるも、武器は手元になく、離れた所に転がっていた
??「…うっ…くっ…」
―グォオオオオオオオッッ!
バンサ・オングの強靭な爪が迫る。
今の彼女には避ける術も守る術もない。
ここで戦闘不能になってしまえば、オペレーターもいないこの状況では彼女を助けに来るものが現れることはないだろう。
??「こんな…所で…」
(死ぬ…の…?)
そうして彼女が諦めかけたその時―
―ガキンッ!
―グァッ!?
??「…?」
その爪が彼女に届くことはなく、目を開くと逆にその爪が割れているのが見えた。
??「…あぁ、まだ生きている。急げよ、救援対象に死なれては困る。
こっちは…アレを倒すほか無いだろう」
『分かりました。カイさん。そっちはお願いしますね』
そして彼女の前に誰かが立っているのが見えた。
顔は見えないが、恐らく彼女を助けてくれた人物だろう。
カイと呼ばれた人物「…ふっ…!」
彼は一瞥するとバンサ・オングへと駈けた。
…そうして彼女の意識は落ちた。
落ちる意識に垣間見たその剣技に見とれながら…
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