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今日の私はいつもの私と一味違う。
「どっか行くの? その大荷物」
朝一番ロッカーローム、同期の友達の奈々ちゃんに首を傾げられた。
「あっ、うん、ちょっと友達の家にね、あはは」
慣れない言い訳は、すぐにボロが出る。ニヤリと口角をあげた奈々ちゃん。
「彼氏ですねぇ? ラブラブ~」
「あっあははっ、うん、まぁ、そう……かな」
「いいなぁ~、奈々も彼氏欲しい~」
「あれ? 奈々ちゃん、彼氏いないんだっけ?」
すっごく可愛いのにな……私よりも全然女子力ありそうだし、いつもいい匂いだってする。制服に着替えながら尋ねると……
「この間、別れちゃいました、やっぱり、同い年はだめですね」
「そうだったんだ」
「やっぱり付き合うなら年上ですね!」
「そう、なの?」
お付き合いした経験は過去にないので、比べられない私。コージとの交際はまだ始まったばかり。恋愛初心者ですけど、何か?
「いいなぁ、実尋ちゃんは~」
「えっ、何が?」
彼氏がいるって言ったから? キョトンとした私に、奈々ちゃんは恨みがましい瞳で一言。
「指導が菅沼先輩で~♪」
「えっ……」
かたまった私。
「好みのタイプなんですよね~♪彼♪」
「……」
「彼女とかいるのかなぁ?」
「………さ、さぁ」
私です、とは言えなかったチキンの私。奈々ちゃんとも、やっと話せるようになった仲なのに……い、言えない……絶対に……
「今度、聞いてみようっと♪」
めげない奈々ちゃんは、悪巧みをするような笑みを浮かべ、ゆさゆさ揺れそうな大きなお胸をシャツの中にしまった。
「……」
いろんな意味で目が点の私。自分の目にちらりと視線を向け……小さく息を吐いた。
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