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「じゃあお前は何者なんだよ?」
お前が神楽拓美じゃないなら、なんなんだ。
俺のことをからかってんのか?少し不機嫌になりながら神楽を睨んだ。
すると神楽はさらに笑みを深くする。
美少年という言葉がしっくりくるその顔に、不気味な暗い影を落とした。
「オレが何者なのか、知りたいのかい?」
「……」
返事に困り、俺は目を泳がせた。
獣みたいな目つきをした神楽から、人間離れした不吉な何かを感じる。
「そのうち君にはちゃんと教えてあげるよ。とりあえず、初めまして。これからよろしくね、潤」
「ーー…あ、あぁ…」
手を差し出され、戸惑いながら握り返す。
少し、冷たい手だった。
そして、この男と関わり合いを持ったせいで、俺の平凡な日常生活が崩れ去るとは、この時は思ってもみなかったーーー…。
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