上【怨村-オンソン-】

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「じゃあお前は何者なんだよ?」  お前が神楽拓美じゃないなら、なんなんだ。 俺のことをからかってんのか?少し不機嫌になりながら神楽を睨んだ。  すると神楽はさらに笑みを深くする。 美少年という言葉がしっくりくるその顔に、不気味な暗い影を落とした。 「オレが何者なのか、知りたいのかい?」 「……」  返事に困り、俺は目を泳がせた。  獣みたいな目つきをした神楽から、人間離れした不吉な何かを感じる。 「そのうち君にはちゃんと教えてあげるよ。とりあえず、初めまして。これからよろしくね、潤」 「ーー…あ、あぁ…」  手を差し出され、戸惑いながら握り返す。 少し、冷たい手だった。  そして、この男と関わり合いを持ったせいで、俺の平凡な日常生活が崩れ去るとは、この時は思ってもみなかったーーー…。
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