上【怨村-オンソン-】

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 その言葉に対して、神楽は笑みをさらに深くした。 こいつは神楽拓美じゃない。 こいつは…こいつの正体はーー 「お前はーー…」 「あ、待った待った。今はさ、オレのことは後回しにしようよ」  神楽は笑う。 「別の問題があるんじゃない?まずはそっちだよねぇ」 「…けど、」 「大丈夫だよ。すべて終わって無事に帰れたら、そしたら話そう。君にはもう何も隠さないからさ」  それを聞いて俺は唇をかんだ。  たしかに、今はそれどころではないかもしれない。  神楽のことは、今回の旅行が終わった後でいいかもしれない。  終わった後に、こいつを連れてあの場所へ行こう。  きっとこいつも、そのつもりだ。 「さぁ行こう。リーダー達待ってるよ」  神楽は俺の肩を叩いて、明るくそう言った。
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