下【怨終-オンシュウ-】

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波打ち際に、人影が見えた。 俺は急いで歩きづらい砂の上を走った。 「神楽!」 やっぱり神楽だ。 けれど神楽は、ゆっくりと海の中へと入って行く。 は?え、ちょ、待て待て待て!! 「神楽!おい!」 俺は青ざめながら必死に名前を呼んだ。 けれど神楽は聞こえていないのか、どんどん奥へと進んで行く。 海水が神楽の膝上を越した。 あいつ!まさか死ぬつもりなんじゃーー! 「神楽!!」 「っ、!?」 俺は自分もバシャバシャと海の中へと入って行くと、後ろから神楽の腕を掴んで止めた。 神楽が驚いたように振り返って俺を見る。 「…なっ…んで、お前がここに…」 「はあ!?ずっと追いかけて名前呼んでただろ気づけよ!つーか…っ、お前何しようとしてるんだ?」 俺は神楽を睨みつけた。 海水は冷たくて、大きく揺れる為、立っているのも難しい。 「まさか、死のうとか考えてんじゃないだろな?」 「……!」 すると神楽が俺の腕を振り払おうと暴れ出した。 「テメェには関係ねぇだろ!離せよっ!」 「はあ!?ちょっ、暴れんなよ馬鹿!」 俺は気付く。 神楽の様子が変だ、口調が荒いし、様子からしていつもの神楽じゃないような… まさかーー
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