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脱兎のごとくと表現したらいいだろう。直ぐ様、車に乗り込みさっさと自宅に帰った。
家の鍵を開けるのも、非常にもどかしい状態。イライラしながら解錠し、引き戸を開け靴を脱ぎ散らかして居間に入ると、テーブルの上に葵さんから戴いた手作りチョコが入ってる小箱を置く。
ここで一旦、深い深呼吸をして気持ちを静めて――っと。
「さてさて、千秋からの荷物は何が入っているのだろうか」
浮き浮きワクワクしながら床に段ボールを置き、ばりばりっとガムテープを剥がして、いそいそと中を開けてみた。
「気泡緩衝材(プチプチの梱包材)で丁寧に包まれているところを見ると、これはチョコレートだな。どれどれ」
セロテープを剥がして、くるくる回しながらそれを外してみたら、見るからに高級そうなチョコレートボンボンが現れた。
「ブランデー入りのチョコレートボンボンか。早速ひとつ戴くとしよう」
まぁるい形をしたチョコレートを摘まみ上げ、ひょいと口の中に放り込み噛み砕いてみた。たちまちブランデーの味が口の中に広がり、チョコレートの甘さと一緒に、その余韻を楽しむ。
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