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テロリストたちは、現代の日本の中心ともいえる場所の一部に怪物を解き放ち、動きを止めて欲しくば、首脳陣の処刑と大金を要求してきたのだ。
俺たちの組織は、そのテロリストを排除するために、隔離された街へ降下する。
鉄の扉が開かれる。
強風が体を打ち、その風の寒さが、この任務を達成するために考える自分の頭を冷やして心地よかった。
ポケットから、スマートフォンを取り出し、降下に備える。
「降下!」
隊長の声と共に、俺達は、ヘリから空へ飛び出す。
落下するときの感覚は、空気の壁にぶつかり続けるようで息苦しかった。
通常の人間ならこのまま、息ができなく苦しいまま、地面に落ちて飛び散るだろう。
だけど、俺達は違った。
コンクリートの地面が迫る中、俺や、隊員たちのもつ、スマートフォンなどの電子機器のディスプレイに光がともる。
そして、目の前に、記号や数字で作られた魔法陣が現れ、通過する。
その瞬間、戦闘員全員が、無骨なヘルメットなどの近代的な鎧に包まれていた。
化学的魔法術式、マジックプログラム。
大昔に存在した魔法を科学的に解析し、数字化し、電子機器に登録された術式。
それがマジックプログラム。
その『魔法』の一つ、鎧を身にまとう魔法が、自動的に発動した。
この『魔法』は怪物たちに近づくことで、半自動に発動し、発動者に堅牢な鎧をさずける。
ほかの魔法も、人間を怪物化した元になったものや、怪物そのものが近くにいないと発動しないようになっている。
そして、全員がコンクリートの上に着地する。
加速による力を受け止めたために。蜘蛛の巣のようにコンクリートがひび割れる。
『全員、無事に降下終了』
俺はスマートフォンのディスプレイに表示される情報を元に、全員の生体反応を確認した。
『さあ、任務開始だ。総員、速やかに怪物どもを全滅させろ』
隊長の指令が出ると共に、いっせいに動き出す。
近くにいる怪物たちを、発火魔法、落雷魔法など様々な魔法を使い排除する。
俺は、スマートフォンをバックルに腰のホルダーにしまい、むき出しにしてある液晶パネルに触れて一番得意な身体強化魔法に、加速魔法を重ねて発動して、怪物の目の前に飛び出す。
ここの怪物たちは、人間と爬虫類を混ぜて、中世の騎士を模したような姿をしていた。
人間の皮膚が鱗に変わり、顔がトカゲになっていて、腕や足は恐竜のように太く、その手には鱗で覆われた斧を持っていた。
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