0人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
「……あんまり、体がよくないんだから無理しちゃダメだよ……」
「……ああ」
俺は、頷くことしか出来なかった。
「で、そう言った側からなんだけど、ジョージさんから、連絡きてるよ。……たぶん、新しい任務だと思う」
「解った。つなげてくれ」
俺がそう言うと、目の前にある大型液晶テレビに、一人の老人が映る。
ジョージ・ミラー。狐火さんとこの組織を創立した男だ。
今もなおアメリカ軍に籍を置いているが、この組織の副指令も勤めていた。
おもに、世界とこの組織をつなげる窓口の役目と、そのための運営をしている。
『久しぶりだな。体調はどうだ?』
「問題ない。で、次は何をすればいい?」
俺は、早急な任務だと考え、そう聞き返す。
『話が早くて助かる。ロシアから、一人の少女が拉致された』
「拉致?俺達は警察じゃないぞ」
『ただの拉致ならロシアの警察の問題だ。だが、今回は違う。その少女は、周囲から魔女と呼ばれ、ロシア軍に監視されていた』
「魔女?」
魔法が化学となった時代で、もう使われない言葉だった。
『ああ、魔女だ。少女には特殊な能力……おそらく本物の魔法を使えたのだと思われる』
「本物の魔法か……。どのようなものを?」
『物体を消す魔法らしい。事故にあったとき、トラックだけを消したそうだ』
「リバティイーターの感知無しに……」
マジックプログラムは、リバティイーターを解析して作られていて、まだ魔法を発動するために、リバティイーターが正常に動いていることが前提なのだ。
リバティイーターの存在がキーとなって、俺達はマジックプログラムを使用できる。
『奴らに軍の監視を殺害され、その少女の両親も亡き者にされ、そして拉致されたのだ』
家族が……親しい人が殺されたのか……。
その、悲しい気持ちが、俺には理解できた。
「だから、俺たちに声が掛かったわけか」
奴ら……四年前のテロを起こした犯罪グループ。
だが、奴らには特徴となるものが何一つ判明していなかった。
あの事件以降、金の要求などはせず、ただ破壊活動を行うだけだった。
まだ、名前すらもわからない。
だから、各国は曖昧な言葉でしか奴らを表せないのだ。
『そうだ。これから、君にはロシアに向かってもらい少女の救出、または殺害してほしい』
「殺害?」
最初のコメントを投稿しよう!