第1章

9/21
前へ
/21ページ
次へ
マジックプログラムは大まかに三種類ある。 一つは、発動型。 人の肉体を通して発動する魔法。 火を放ったり、肉体を強化したりはこれだ。 次は装備型。 武器などの道具に、あらかじめ組み込んでおいて、その道具自体に魔法を発動させる。 あとは、感染型。 稀なものだが、使用型の一種が、人と人とのふれあいなどで、誰かの体そのものにマジックプログラムが、感染するときがある。 基本は無害なのだが、たまに、危険なものもあるのだ。 極端に言えば、死ぬ。 そんな装備型のマジックプログラム、貫通力強化魔法と、消音魔法を発動した。 狙撃は、自分の腕でなんとかする。 発動を確認し終えて、すぐに、引き金を引いた。 音もなく、銃弾はリバティイーターの額に吸い込まれ、果実を潰すように、中身がはじける。 そして、リバティイーターは静かに雪の上に沈む。 マジックプログラムが停止したのを確認して、スナイパーライフルを背負いなおす。 このあたりに、敵はもういないようだ。 基本、リバティイーターと人間は同じ場所にはいられない。 リバティイーターには、絶対に人間を殺そうとするプログラムが埋め込まれている。 奴らでさえも、そのプログラムを解除できない。 爆弾や地雷など、使い捨ての兵器のような利用方法しかないのだ。 何もかもを壊滅させる気持ちで放置することしか。 一応、近くにいないのなら、ある程度誘導することは可能のようだが、難しいらしい。 だから、マジックプログラムが使えない以上、リバティイーターは居ないし、リバティイーターが居た限り、敵兵は居ないはずだ。 俺は、崖をクラッククライミングしながら、その場所におりた。 追跡部隊の遺品を見て、あの少女を探すためのヒントになるものは無いか調べた。 すると、一つの電子機器を見つける。 そこには、少女の顔写真が添付されているデータが入っていた。 まだ、ジョージから、少女の名前を聞いていなかった。 ほかの詳しい情報も教えてもらっていない。 おそらく、ロシア軍が意図的に情報を公開していないのだろうけど。 俺は、暗号をすばやく解読したが、ロシア語が読めなかった。 諦めて、情報端末を起動して、無線モードにし、ノアにこーるする。 「ツバサ、今からそっちにデータを送る。解析を頼む」 『了解、ボス』 情報解析からオペレートなど様々な仕事をこなせるのがツバサだった。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加