3題で書く100文字小説(掌編)を集めました

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『非凡なる苦悩』 お題:占い師,偉大なる,お兄さん 幼いころ、兄とわたしを見た占い師は、偉大なる兄をもったとわたしの頭を撫でながら感心した。凡庸なわたしと違い、兄は天からあらゆる才能を享受している恵まれた人だった。「お兄さん」振り返った兄は怒っていた。 2015-09-01 19:25:22 『宇宙船中学号』 お題:パパ,中学校,宇宙船 父の職業は大学教授。紙の山といまだに格闘中の時代錯誤さ加減が崩れたニュアンスをつけている。中学校に呼び出された。「パパ?」父は背を向けたまま「お前には教えていなかったね」と言う。そこに宇宙船があった。 2015-09-01 19:24:24 『メッセージ』 お題:レース,ボーリング,正義 全面硝子が嵌った観音開きの扉は少し開きレースのカーテンが風になびく。アンティークのつややかな家具の影に横たわるしなやかな白い腕と日本人形のような黒髪、血塗られたボーリングの玉、正義という文字が見える。 2015-08-31 21:14:12 『スリルとサスペンスとかわいいスパイ』 お題:どじょう,政治,女の子 泥鰌鍋といえば、政治の世界では密談にひと役買うアイテムという。高級料亭で鍋を囲んで盃をかわすわけだ。女の子がひとり聞き耳を立てる。料亭の女将の娘で16になる。彼女は、同じ大学で交際中の男の密偵だった。 2015-08-31 08:23:29 『オピニオンリーダー』 お題:テニス,クッキー,ロック 世界四代大会の模様をネット配信で全試合チェックするのがここ最近のブームだ。クッキーが残って重くなるのが難点だ。テニス観戦をしながらインナーマッスル。ビネガーをロックにしてクレオパトラのように飲み干す。 2015-08-30 22:14:03 『遺伝子レベルでの優秀さ』 お題:OL,巨人,上司 OLなんて言葉、イマドキつかうのか? 疑わしいな。彼女は自分のことをサラリーマンと称した。OLとしては彼女は偉大すぎる。賞賛され、栄誉をうけ、上司からは寵を得た彼女。出来すぎたOL、もはや巨人だろう。 2015-08-30 21:05:45
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