3題で書く100文字小説(掌編)を集めました

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『メカニズム』 お題:達成,生産,永遠 生産目標の達成が月ごと、期ごとの区切りだが、おそろしいことにこのサイクルは始めてしまったら永遠にまわりつづけるメリーゴーランドのようなものだと気づくはずだ。そして飽きることをおそれ続けるのだ。ヤツらは 2015-08-30 20:48:28 『清廉潔白なれば』 お題:政治,贈り物,米 政治家、つまり代議士に贈り物はイケナイ。国家公務員もしくは公務員に贈賄になるからだ。とはいえ、過疎地の農家のじいさまには、そんなことはわからないらしい。米俵100俵が届いた時には事務所中が頭を抱えた。 2015-08-29 21:24:37 『生命の神秘』 お題:不死の,暗殺,ゾウ 高い所が好きな奴は不死の妙薬を求めるという。釈迦は生を苦だと説いた。苦痛を長引きさせたいってドMかよ?依頼は保護されている千年生きた伝説の白いゾウの象牙だ。報奨は金塊ひとつ。依頼主が暗殺されなければ。 2015-08-29 21:19:35 『フラッシュバック』 お題:加害者,忘れられし,蘇る 忘れられし記憶が蘇る。後ろ右肩に、青ざめた蝶の痣があった。3年前、夜道を帰宅途中、襲われた時に傷つけられた痕だ。加害者はストーカーで、木立の生い茂った公園脇を通りかかったとき、背後から叩きつけられた。 2015-08-29 18:37:00 『ズレる』 お題:影,繰り返し,言語 夕暮れ時の帰り道、ふと足元の長くなった影を見た。なんだ、この言語に出来ない違和感は。再び歩き始める。太陽はすでに滲んで地平線を侵し始めていた。違和感は拭えない。体と同じ動きを繰り返すはずの影がずれる。 2015-08-29 18:33:13 『3番のポーズ』 お題:屋上,南,回転 南向きの風が心地よく吹いている。快晴だ。「薫風、薫風」小夜は両手を広げて満足そうに背伸びしている。屋上の入り口の上、展望台と同じ高さだ。バレエの3番のポーズをとりながら回転しそうになる。「あぶないぞ」 2015-08-28 18:01:08
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