第1章

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私は岡の上の住宅街に続く階段の上に座り、お兄ちゃんが通りかかるのを待っている。 あ、お兄ちゃんだ! 階段の上でキョロキョロと周りを見渡していた私の目に、お兄ちゃんの姿が映る。 「お兄ちゃん! 」 「え!?カ、カリナちゃん?」 「こ、これ、受け取って」 私は胸に抱えていた箱をお兄ちゃんに差し出す。 「僕が貰って良いのかい?」 「うん、カリナがお小遣い貯めて買ったの」 「ありがとう」 お兄ちゃんは嬉しそうに箱を受け取ってくれた。 「お兄ちゃん、また明日ね」 私はお兄ちゃんに手を振り、階段を駆け下りる。 階段を駆け下りてから上を見上げると、お兄ちゃんが感激の表情で箱を抱えているのが見えた。 中身は先月近くのスーパーで安売りしていた、板チョコ何だけどね。 でもこんな事でお小遣い3万円ゲットか、止められないなこの商売。
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