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「遠慮はいらない。
弾の2・3発で死ぬような身体ではない」
しぎなの後押しに、SMGのトリガーに指がかけられる。
「今だ、撃て!」
ズドン、しぎなの号に反応して銃声が響いた。
が、それはSMGのものではなかった。
破裂する窓ガラス、豪快に飛び散るガラス片。
板東が発砲するより先に、こちらのチームの狙撃手が目標を撃ち砕いたのだった。
しぎなはすぐさま駆け出し、突然爆発したガラスに気を取られている板東へ迫る。
こちらに差し向けられているSMGを左手で押さえ、右手でそいつの顔面にパンチを見舞う。
「ぶほっ!」
一瞬の出来事だった。
板東は武器と人質を同時に手放し、後ろの柱に後頭部を打ち付ける。
最後はそのまま気を失って床へ倒れ伏した。
ガラス片がぎらぎらとさざめいて部屋の片側にばらまかれる。
よろよろと床に手をついた女性も、手足を縛られた3人も、無事のようだった。
「19時57分、板東まさぎ確保」
『よくやったわ』
しぎなが一報を入れると、仲里課長が返答した。
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