・第1話〔1〕

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  「遠慮はいらない。 弾の2・3発で死ぬような身体ではない」      しぎなの後押しに、SMGのトリガーに指がかけられる。     「今だ、撃て!」      ズドン、しぎなの号に反応して銃声が響いた。   が、それはSMGのものではなかった。    破裂する窓ガラス、豪快に飛び散るガラス片。   板東が発砲するより先に、こちらのチームの狙撃手が目標を撃ち砕いたのだった。    しぎなはすぐさま駆け出し、突然爆発したガラスに気を取られている板東へ迫る。   こちらに差し向けられているSMGを左手で押さえ、右手でそいつの顔面にパンチを見舞う。     「ぶほっ!」      一瞬の出来事だった。   板東は武器と人質を同時に手放し、後ろの柱に後頭部を打ち付ける。   最後はそのまま気を失って床へ倒れ伏した。   ガラス片がぎらぎらとさざめいて部屋の片側にばらまかれる。    よろよろと床に手をついた女性も、手足を縛られた3人も、無事のようだった。     「19時57分、板東まさぎ確保」     『よくやったわ』      しぎなが一報を入れると、仲里課長が返答した。  
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