・第1話〔2〕

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       西暦2817年。   文明は高度に発達し、人類は月にも火星にも街を築き、スペースコロニーを何十基も宇宙に浮かべるまでに至った。   貨幣はカードとなり、車両は浮いて走り、電波通信は素粒子通信に取って代わり、科学技術は一応の円熟期を迎えていたのだ。    わけても“サイバネティクスコーディング”と呼ばれる技術の開発は、人類社会の在り方を一変させたという意味で重要な出来事だった。   それは人体改造技術の一つで、DNAレベルから人体を機械構造化しようというものだった。    コーディングによって、目はディスプレイにもなり、耳はスピーカーにもなり、脳はコンピュータにもなった。   テレビやビデオを見たければ、目の奥の視細胞に施したインナーディスプレイが視神経へと直接的に映像を流した。   音楽が聞きたければ、鼓膜に施したインナースピーカーが聴神経へと直接的にサウンドを奏でた。   脳の一部に構築したインナーコンピュータで、種々の機能を制御し、また、遠くの者との通信をも可能にした。   これらは、UAR、超拡張現実を実現させた。  
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