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西暦2817年。
文明は高度に発達し、人類は月にも火星にも街を築き、スペースコロニーを何十基も宇宙に浮かべるまでに至った。
貨幣はカードとなり、車両は浮いて走り、電波通信は素粒子通信に取って代わり、科学技術は一応の円熟期を迎えていたのだ。
わけても“サイバネティクスコーディング”と呼ばれる技術の開発は、人類社会の在り方を一変させたという意味で重要な出来事だった。
それは人体改造技術の一つで、DNAレベルから人体を機械構造化しようというものだった。
コーディングによって、目はディスプレイにもなり、耳はスピーカーにもなり、脳はコンピュータにもなった。
テレビやビデオを見たければ、目の奥の視細胞に施したインナーディスプレイが視神経へと直接的に映像を流した。
音楽が聞きたければ、鼓膜に施したインナースピーカーが聴神経へと直接的にサウンドを奏でた。
脳の一部に構築したインナーコンピュータで、種々の機能を制御し、また、遠くの者との通信をも可能にした。
これらは、UAR、超拡張現実を実現させた。
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