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しぎなはすぐさま右手を持ち上げて、ひざの上に現れたイエスノーボタンの“承認”に触れる。
ピコンという確認音とともにボタンが光って消え、ルートマップのルートが変更された。
『報告します』
「やあ、とえちゃん。
ずいぶん久しぶりだねぇ」
デジタル戦術のエキスパート、とえりの顔が現れると、ケイトがぱっと明るい顔になって声を掛けた。
以下、とえりとケイトのやり取り。
『“とえちゃん”呼称は拒否します』
「つれないなぁ、ハニー。
で、どうやって女の子の居所を突き止めた?」
『まず、透明人間の正体から説明させて下さい』
「ああ、街じゅうのレーダーカメラにも映ってなかったんだよな、その娘。
しぎなの目の前で透明になったって話だけど……」
『あとから分かったことなんですが、実はあの時、クラッキングを仕掛けられたのは私ではなく、セクエンスコーポのほうだったんです。
相手も防犯監視システムに侵入していて、データを改ざんすることが可能でした。
そのデータを私がしぎな先輩にスルーしてしまったわけですが』
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