・第1話〔3〕

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  しぎなはすぐさま右手を持ち上げて、ひざの上に現れたイエスノーボタンの“承認”に触れる。   ピコンという確認音とともにボタンが光って消え、ルートマップのルートが変更された。     『報告します』     「やあ、とえちゃん。 ずいぶん久しぶりだねぇ」      デジタル戦術のエキスパート、とえりの顔が現れると、ケイトがぱっと明るい顔になって声を掛けた。   以下、とえりとケイトのやり取り。     『“とえちゃん”呼称は拒否します』     「つれないなぁ、ハニー。 で、どうやって女の子の居所を突き止めた?」     『まず、透明人間の正体から説明させて下さい』     「ああ、街じゅうのレーダーカメラにも映ってなかったんだよな、その娘。 しぎなの目の前で透明になったって話だけど……」     『あとから分かったことなんですが、実はあの時、クラッキングを仕掛けられたのは私ではなく、セクエンスコーポのほうだったんです。 相手も防犯監視システムに侵入していて、データを改ざんすることが可能でした。 そのデータを私がしぎな先輩にスルーしてしまったわけですが』  
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