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「なぁんだ、じゃあ、とえりがデジタル戦でしくじったんじゃなかったんだな。
安心したよ」
『問題なのは、街なかのレーダーカメラのほうです。
相手は用意周到に、今回の犯行を計画していたようなんです』
「マジか。
いったい何があったんだ?」
話の核心に言い及び、それまでずっと落ち着いていたしぎなとケイトが、にわかに怪訝な顔をする。
そこからは、とえりもケイトも幾分か真剣な面持ちになって続けた。
『少女はどうやら、“ブリンクアプリ”というものを悪用しているみたいなんです』
「ブリンクアプリ?」
『コーダー用の映像編集アプリケーションです。
ほとんどのコーダーにプリセットとして実装されています。
人の目を介して撮影した映像には、ブリンク、つまり瞬きをすることによる一瞬の暗転が生まれます。
ブリンクアプリは瞬きの前後の映像から中間の画像を作成し、暗転した部分と差し替えることで自然な録画映像に仕上げるものです』
「ああ、なるほど、それなら見たことがある。
で、それとあの娘と、どういう関係が?」
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