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とえりは坦々と言ってみせたが、確かに画像の少女はあの夜、しぎながビルの屋上で対峙した人物だった。
「よく見つけたな。
間違いない、この子だ」
しぎなは若干驚き声で眼前の後輩に賛辞を送った。
『事件があった時間帯のセクエンスコーポ周辺のカメラ映像を、片っ端からのぞいてみたんです。
そうしたら、“サブリミナルガード”がこの3枚の画像を検知したってわけです』
「サブリミナルガード?」
今度はとえりとしぎなのやり取り。
『それもまた、コーダー用のアプリケーションです。
映像中に不自然に紛れた一瞬の画像を検出するものです』
「そうか、しかし現場周辺といっても相当な数の映像だっただろう」
『大したことはありません。
録画映像をチェックし始めてまだ70時間です。
調べれば、もっと出てくるかもしれませんから』
「休め。
俺たちがあの子を捕まえれば、その必要もなくなる」
『……分かりました。
では、あとのことはお任せします』
目の前に浮かぶウィンドウの中のとえりの顔は、通信用のCG、つまりアバターだ。
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