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3日間ぶっ通しで監視カメラの記録映像を確かめていたというのなら、本当の彼女はこんなに健康的な顔つきをしてはいないだろう。
アバターの向こう側の状況を思うと、無茶なことはさせられなかった。
ふと車窓の外に目を向けてみると、いつの間にか市街地に入って川沿いの道を走っていた。
とえりが提示した画像の3枚目にも、昼夜の違いは有れど同じ河川が映っているらしかった。
場に出ているウィンドウが一度整理され、再び仲里課長の顔が表示される。
『少女の姿が映っている地点から計算してみると、どうやら枯れた地下水路に逃げ込んだみたいなの。
もしかしたらアジトがあるのかもしれないわ』
「下水道?」
説明を引き継いだ課長に対して、あからさまにいやな顔をして問い掛けたのはケイトだ。
『安心して、都市計画の見直しで廃止の憂き目にあった“あんきょ”よ、下水はもともと流れてないわ』
「それは助かる。
じゃなかったら、こんな所にアジトなんて作んねーよな」
彼女の言葉に、心底安堵した様子のケイト。
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