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派手な服装ではないものの、グレーのコットンシャツに都市迷彩のジーンズを汚したくないとでも彼は考えているのだろう。
これを見越したというわけでもないが、しぎなのほうは黒のポロシャツと黒のジーンズという出で立ちだった。
目的地には間もなく到着した。
『一旦、通話を切るわ。
すぐにカゲとイッサも向かわせるから、先に捜索始めてて。
もし何か見つけても、応援が行くまで、
“た・い・き”、よ、いいわね?』
「まかせとけって」
課長とケイトの会話で通信を終え、河川横のガレージに車が停止した。
車体がゆっくり下がって、車底に付いた4つの球形タイヤがアスファルトの地面に接地する。
2人は万一に備え、グローブボックスからハンドガンを取り出してそれぞれ持つことにした。
ドアを開けて車を降り、静かにドアを閉める。
頭上はマンション。
金網のフェンスに河川へ抜けられる出入り口が設けられている。
「さっきのはないだろ」
「ん?
何がだ?」
そこへ向かって歩き出してすぐ、ケイトが小言らしきものをふっかけてきた。
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