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どこかあきれ顔の彼に、しぎなはその意図が分からず問い返すしかなかった。
「とえりに言ったあれだ。
“休め!”は良くないな」
「3日も続けてムービーチェックしていた。
少しは休ませないと体壊すだろう」
「言い方だ、言い方」
特におかしな発言などはなかったはずだが、河川への出入り口で立ち止まってこちらを向くケイトから指摘を受けても、しぎなは思い当たる節がない。
「言い方?」
「ああ、そうだよ。
休むことまで命令されてちゃ、後輩も息苦しくなるってもんさ。
ああいう時は、“君の体が心配だ、少しは休んでくれないか?”くらいがちょうどいい」
「フッ……」
突然、交際セミナーを始めたケイトに、軽く噴き出してしまう。
“お前じゃあるまいし”と言いたくなったしぎなだが、どうやらとえりに気があるらしいケイトの、お節介からのことだと察してやめた。
「とにかくしぎな、女の子には最上級のラブとやさしさで接しろって言いたいわけよ」
「分かった分かった。
だが、そうか、意見には感謝する。
次からは気を付けよう」
「それでいい」
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