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全くもってありがたい説法にこちらが承服すると、ケイトは満足げにうなずいて再び歩き出した。
幅広な河川といっても水量は少なく、川底の白いコンクリートが半分以上むき出しだった。
車道橋と高架歩道が日光をさえぎってできた薄暗がりに、くだんの地下水路への入り口がある。
「ここだな?」
視界のすみに表示しているのだろうルートマップを確認しつつ、ケイトが言った。
近付いてみたが、のり面に四角く掘り抜かれた地下水路の奥は、全くの暗闇で何も見えない。
「リングメイル、ON。
ナイトビジョン、ON」
しぎながチークボタンに触れてつぶやいた。
全身の筋肉がざわめき出し、緊張をたもったまま静まる。
「音声入力か……。
コマンド入力のほうが楽じゃないか?」
言いつつケイトも空中に手指を踊らせて、しぎなと同じような機能を立ち上げた。
「コマンドツリーをたどるのがどうにも面倒だ」
最後にしぎなが返して、2人は無駄口を封印した。
両者ともハンドガンを両手で把持して、暗闇の中へと慎重に足を踏み入れる。
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