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前にいたほうのケイトが、敵を寄せ付けぬようブラインドファイアで応戦し続ける。
その間にしぎなは壁を背にし、被弾してしまった部位を確認しておく。
リングメイルがしっかりと機能していて、肩と胸と脚に敵弾をいなしたあとが付いていた。
にわかに、目の前を横切る影がある。
扁平なバルーンの形をしたそのシルエットを認めると同時に、コールが舞い込んだ。
『隠れろ!
りゅう弾だ!』
通信の相手はカゲだった。
敵陣へ突貫していったのは、味方のBSAだ。
「マジかよ!」
通信の意味を理解してケイトが、めくら撃ちを即座にやめて腕を引っ込める。
直後、耳をつんざく炸裂音が合わせて8度、立て続けに起こった。
爆風と爆煙がこちらまでやって来て、たちまち2人を包み込む。
「ぶっは!
ここでやるか、おい」
砂ぼこりにまみれて、ケイトがせきと文句を吐き出していた。
急に辺りが静かになると、しぎなも慎重に首を伸ばして角の向こう側を確認してみる。
ずいぶんと派手なやり方ではあったが、しかしおかげで、敵影はすっかり消えていた。
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