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カゲのBSAが放ったのは、着弾すると弾頭にこめた炸薬が炸裂する、りゅう弾と呼ばれるもの。
何発かは壁や天井をえぐっただけのようだったが、カブトガニだった物は原型をとどめぬほど寸々にちぎれて、地に転がっていた。
『借りは返した』
「返しすぎだろ!」
セクエンスコーポレーションでの意趣返しを遂げて満足げに言ったカゲに、ケイトは頭や服に付いたほこりを払いながらあきれ気味にやじる。
この短時間で駆けつけてきた辺りを見ると、カゲはやはり相当、あの時のことを根に持っていたらしい。
『何があったの!?
報告して!』
あわてた様子の仲里課長が、異変を察して連絡を入れてきた。
「ああ、BSAが襲ってきた。
だがもう、大丈夫だ。
カゲが一掃した」
いくぶん耳鳴りのする耳をかばいながら、しぎなが応じた。
煙が晴れてくると、逃亡者のものと思しき足音が完全に消えていた代わりに、水路の奥の壁に扉らしき物を見つけた。
「おい、あそこにドアがあるぜ。
あれがアジトってヤツなんじゃねーの?」
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