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大企業のシステムに侵入し、同僚のBSAをクラッキングして爆発させ、透明人間にまでなってみせた少女に、愚問だったと悟ったのだ。
互いに出方をうかがい合って、どちらも固まってしまう。
問題は、なぜ今になって接触してきたのかということだろう。
「セクエンスコーポレーションに忍び込んでいたな?
テロリストたちを操っていたのか……?
名前は、何て呼べばいい?」
『捜査をやめテ。
私のコトは、ほうっておいテ……』
やはり、少女は抑揚の乏しい、日本語慣れしていない話し方だった。
しぎなは左右に視線を走らせてみたが、違う場所にいるであろう彼女が攻撃してくる様子はない。
安心したというわけではないが、腰を落ち着けても大丈夫のようだ。
いつでも防御体勢が取れるよう警戒したまま、しぎなはゆっくりソファに座った。
「……それで、何が目的だ。
居場所を知られる危険を犯してまで、俺に何をさせたい?
まさか本当に、捜査を中止させるなんてことができるとは思ってないんだろう?」
『…………』
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