・第1話〔4〕

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  さすがに返す言葉が思い浮かばず、少女を注視するしかない。   彼女はしぎなの正面で立ち止まって、こちらを向いた。     「…………?」      何をするのかと不思議に思っていると、少女は天井を見上げ、そして言う。     『私も、こんなトコロ住んでみタい……』     「…………!?」      彼女がその短いセリフの間に、右手を胸の高さまで持ち上げて“ハンドシグナル”を送ってきたのをしぎなは見逃さなかった。   最初に握り拳を作り、次に望遠鏡の要領で筒を作り、そしてふたたび握り拳。   この3つを瞬時に送ってきたのだ。    右手が下ろされると、最後にまたこちらを見て、一言。     『なずさ……』      その声が終わると、途端に少女の姿が歪み、一瞬にして立ち消えた。   一拍遅れて“communication error”の文字も消える。   静かになる室内。     「…………」      しぎなは今起きたことをうまく整理できず、ずいぶん長い間呆然としていた。   結局、何の目的だったのかが分からない。  
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