・第1話〔4〕

11/19
前へ
/673ページ
次へ
  『脅迫してきた? それだけか、他には……?』      たった1分ほどの間に様々なやり取りをしたように思ったが、取り立てて報告するほどのことはほとんどなかった気がする。   しぎなは息を一つついておいて、面倒な説明は省くことにした。     「ああ、特には……。 しかし、どうやって俺のナンバーを調べたのか……。 ログを呼び出そうにも着信履歴が残ってない」     『なんだそりゃ。 履歴まで消していったってことか?』     「よく分からない。 イッサとの通話後に通信エラーが出たんだが、その直後に少女が……」     『通信エラー?』      何かを思い付いたような声音で、イッサが問い返してきた。   特課メンバーの通信ログは、通信会社と本庁のデータベースに記録されていて、誰が誰と通話していたかが即座に分かる仕組みになっている。    会話の内容までは記録されないが、発信元をたどるくらいはできるはずだった。     『……待てよ、それ、もしかして“トラッピング”じゃないか?』     「トラッピング? またクラッキングか何かの技か」  
/673ページ

最初のコメントを投稿しよう!

140人が本棚に入れています
本棚に追加