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『通話中に不具合で回線が途切れると、エラーメッセージを表示する専用ページに飛ばされる。
それがトラッピングというものだ。
クラッカーはその“アクセス先”を、クラッキングで“使い捨ての回線”に変更しておく。
そうして、標的が誰かと通話してるほうの回線に妨害信号を流せば、トラッピングで飛んできた標的とその場限りの通話をすることができるってわけだ。
だがこれは、相当な知識と技術が必要だと聞いたが』
「ログは残らないのか……」
『駄目だな……』
イッサの導き出した答えは、至極味気のないものだった。
「……そうか、それは、残念だ。
しかし、よく知ってたな」
『専門家ではないが、昔一緒に仕事した奴にそういうのが得意なのがいただけだ。
本当にトラッピングなのかは分からないがな。
いずれにしても、課長に報告したほうがいい』
2人はそれから特課メンバーを呼び出し、仮想空間上の会議室で急きょミーティングを行なうこととなった。
課長たちとともに色々と知恵をしぼり合ったが、この時は少女につながる糸口をつかむことはできなかった。
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