・第1話〔4〕

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  「面倒をかけたようだな。 ケイトの言った通り、向こうはただ者じゃなかった」      しぎなは苦笑混じりに吐き出して、自分のデスクに着いた。   キャスターチェアに腰を据え、ひじをつく格好で机上に手の平をかざす。   天板のコンピュータが、指先に仕掛けられた“パーソナルタグ”を読み取ると、彼のファイルを開いた。    ふと、しぎなは自分の手に目が留まる。   昨日、少女とのやり取りで生じた奇妙な謎を思い出す。   もしかしたら、ハンドシグナルではないのかもしれない。   例えば、若者の間で流行しているしぐさとか、ロックバンドのパフォーマンスとか。   思い付いて2人に問い掛ける。     「ああ、これ何のサインだとか、知ってるか?」      そう言ってしぎなは、昨日少女がやったハンドシグナルを実演した。   右手を持ち上げて、こぶしを作り、筒を作り、こぶしに戻る。     「というヤツなんだが……」     「ぶははっ」      やり終わって最初に噴き出したのはケイトだったが、とえりも手で口を隠してしっかりと噴き出していた。     「ふふ……ネコ?」  
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