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なだらかな放物線を描いて、ひと息に飛び越える。
ガン、ガン、ガシャン、空中にいる内に着地先の窓ガラスに向けて3発の銃弾を撃ち込んでおく。
3発目に放った弾丸が、ぶ厚いガラスを撃ち砕いた。
しぎなは腕を交差させつつガラス片が散り落ちる中へ飛び込んで、見事18階のフロアに着地した。
そのまま前転して制動する。
『スキャニング完了、データを送ります』
また“voice only”のウィンドウが立ち上がり、新たな声で通信が届いた。
通信制圧担当の女性課員だった。
ウィンドウが消えると、しぎなの見ている景色にワイヤーフレームがオーバーラップする。
白い壁にさえぎられて分からなかった通路や部屋が、まるで透視しているかのように描画される。
インナーディスプレイをはじめとする数々の科学技術によって、これらの魔法が可能になったのだった。
そして、同階と上階に散らばって浮かび上がる人の形をした赤いシルエットが、今回のターゲットというわけだ。
長く伸びた通路がかぎなりに左へ折れ、その終点の部屋につどった4つの青い人影が人質ということらしい。
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